舞囃子とは、能の一曲のうち、主要な所作や舞の見どころをぬきだして紋付・袴姿で舞う上演形式です。
『源氏物語』「夕顔」の巻に描かれる光源氏と夕顔の上の恋物語を元にした能の中の舞です。
夕顔の霊が源氏との出会いの時を思い出して、源氏をひたすら懐かしみ、恋心を語り舞います。
一番の見どころは、夕顔の霊の舞です。源氏と恋物語を語り合うと、そのまま源氏の詠んでくれた歌の初句を謡い、「序の舞」を舞います。
語り舞の中には、源氏に夕顔の花をさし上げるような動きもあり、ひたすらに源氏を慕う夕顔の心が凝縮された舞と言えます。
<夕顔>の主人公が、夕顔の花そのものと解釈できるかもしれません。
はかなく逝った夕顔の君を重ね、しっとりとした優美さが際立つ舞です。